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AI:従来の機械学習 – 数や確率の予測

Updated: Feb 1

AIとディープラーニングの主な用語の紹介については、 この記事.


定義、創出できる価値

組織というものは、絶えず数値予測を試みている。例えば、生産能力の調整を図るための需要予測、消費者の支払ってくれるであろう価格、顧客の乗り換えを促すために必要な割引率などである。コスト面で言えば、物価や材料価格の予測、あるいは利益を出すための適切なマーケティング費用の予測に努めている。今日、これらの数値を予測するには、データ分析、経験、組織固有の知識、クラウドソーシングを組み合わせることが多い。一部の企業は他の企業より巧みに実践している。また政府にしても、例えば、特別な援助やインフラを必要とする人数を把握するために数値予測を必要としている。


従来の機械学習は、数値を予測する強力なツールである。表形式のトランザクションデータを取り込み、それを使用してモデルを訓練し、数値予測をはじき出す。予測には、主に2種類ある。


1つ目の予測の種類は、例えば商品の価格や生産すべき製品数など、実際の数字を予測するものである。企業は機械学習モデルを用いて、あらゆる数の損益の要因やその他のKPIを予測することができる。これらのモデルには主に線形回帰が使われ、従来のデータ解析の範囲を超える大規模なデータインプットを処理することが可能である。


2つ目の予測の種類は、「Yes」(1)と「No」(0)のどちらかを予測するものであり、実態としては、どちらの結果になるかの確率を予測している。この場合、「この種類の顧客は購入ボタンをクリックするのか、それとも広告をクリックするのか?」といった具合に、質問をいくらでも作成できるため、ほぼ無限の用途に活用可能と言える。このようなバイナリ形式の予測はしばしば分類問題として知られており、ロジスティック回帰などの簡単な統計式に基づいている。多くの複雑な機械学習やディープラーニングのテクニックも煎じ詰めれば「Yes」「No」の確率予測である。


この技術が企業にもたらす価値は、事業に関する様々な指標の予測精度を高め、組織のパフォーマンスの飛躍的な向上に貢献できることである。


現況

既に、いくつかの日系企業は、従来の機械学習を使用して数値予測を向上させ、その便益を享受している。日本の小売業界の象徴的存在であるユニクロはGoogleと共同で需要予測システム「Ariake」を開発した。需要予測が向上すれば、生産計画も適格化され、売れない不要在庫を削減することができる。このシステムは、顧客の選好、販売データ、その他のインプットを組み合わせ、ある程度の確度をもって、実際の需要がどうなるかを予測する。


他にも、日本における有効な事例として、エネルギー消費予測がある。エネルギー消費は発電所の発電コストに直結するため、予想需要に基づき発電すべき電力量をキロワットやメガワットレベルの数値で正確に予測することで、かなり大きなメリットをもたらす。このシステムはウェザーニュースが開発したものであり、最新の天気予報とエネルギー消費データを使用して、電力需要を予測する。その開発は、主要PPS(特定電気事業者)の1つである住友商事と、過去の電力消費データや需給計画の経験を提供したサミットエネルギーの協力のもと行われた。


最後は、ソニーがみんなのタクシーと共同で、タクシー運転手の支援や仕事の効率化を図った事例である。このプロジェクトでは、東京をいくつもの地域に細分化し、地域ごとに、いつ、どこで、何人の乗客が見込めるかをドライバーに知らせる需要予測サービスが開発された。この予測システムの開発にあたり、参加した複数のタクシー会社が持つ約1万台の車両の状態データに対して、データを精査するために機械学習が適用された。


今日、これらの予測をするための従来の線形、ロジスティクス、または多項式の回帰アルゴリズムは、主要なクラウドプラットフォーム上での「aaS(as a Service)」を含め、広範に利用できる。つまり、この技術がこの先我々にもたらす価値は、我々の発想力やイノベーションに対する意思力次第で、いくらでも広がり得ると言える。


今後の技術発展の方向性

企業が予測に着手しようと思えば、今日にでも可能である。そうした企業が機械学習を活用すればするほど、この技術の活用は以下の3つの観点から一層容易化されると考えられる。

第1は、この技術を実装するユースケースが増えていき、それらが広く共有される点である。前述の2択問題は無限に存在し、また、多くの企業が様々な指標の予測を求めていることからも、この点は妥当と言えるだろう。


第2は、これらのモデルのインプットとして、背景データが増えていく点である。例えば、天気、世論、渋滞情報など、様々な外部事象が機械学習のモデルに提供され、その結果、外部要因が予測に与える影響について機械学習モデルはさらに精度を高めていくと考えられる。


第3は、AutoMLモデルの活用が増える点である。AutoMLモデルは既成または事前訓練済みのモデルで、市販されており、データインプットをフィードするだけで使用可能な機械学習モデルである。例えば、予測を改善しようとしている小売業者は、小売予測と需要予測を備えたAWS Forecastを使ってみればよいだろう。また、「どの顧客が購入しそうか」といった予測的な質問への答えは、Google BigQueryを使って、その中の2、3の指示に従えば得ることができる。


主な適用事例

前述の例のように、適用事例は大まかに言って2つある。1つ目は、より的確な意思決定を下すための損益要因の予測である。機械学習は、知見を得るためにデータを細かく分割することに頼る従来の「データサイエンス」からの大幅な飛躍を可能にする。下の表は機械学習が回答可能な予測タイプを例として示している。



2つ目は、事業オペレーション上の要因の予測である。追及する成果は産業ごとに異なるため、予測すべき要因も業界によって異なる。例えば、ヘルスケアや医薬品業界が創薬の成功率を予測しようとする場合もあれば、自動車メーカーが新車の投入に最適な市場を予測しようとする場合もある。

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